キャラクターの性格、固定観念にとらわれてない？

　自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。ライトノベルに限らず、物語には様々な個性的なキャラクターが存在する。その中には、現実にはほとんどいないような特殊な性格のものも多くある。今回は、

「ネット小説に登場するキャラクターの性格の種類を増やす」

という目的で記事を書く。

　毎度のことのように言っているが、最近のネット小説は内容が酷似しているものが非常に多く存在しており、現在も生み出され続けている。その中で、大まかな内容だけでなく、「キャラクターの性格までもが固定観念によって決められている」と感じた。

　というのも、最近ネット小説を書いている人というのはだいたい書き始める動機が似たり寄ったりだと思われるため、思想や憧れのシチュエーションが皆似てしまうのである。インターネットにより気軽に考えをシェアできるようになったことが大きな原因だろう。同調意識が強いのだ。

　作者が同じような内容の小説をたくさん書くから、読者もそれを読みたい人ばかりになる。そしてそれが評価され、書籍化、漫画化、アニメ化して有名になっていく。そしたらまたそれを読みたい読者が増え、その中から人気作品をリスペクトした作者も出てくる。このように同じような作品はどんどん増えていくのだ。

　人気のジャンルの作品が増えていくのは良かったのかもしれない。ただ、ここで重大な問題が発生してしまったのだ。それは

「人気作品の影響を受けすぎて新たな作者が考えることを放棄してしまった」

こと。いや、必然的にそうならざるを得なかったのだ。書き始めようと思ったときにはすでに同じような作品だらけだったのだから……。

　そして、最初の話に戻るわけだ。物語の進行が同じようなものが増えすぎたせいで、「キャラクターの性格も物語に合わせて固定化していった」

のである。書いている人が同じものに影響されているのだから当たり前といえば当たり前なのだが。

　そこで、これを読んでいる作家の皆さん、またはその関係者の方々（読者ももちろん関係者だ）には、ぜひともネット小説ではあまり見かけないキャラクター像を考えてみてほしい。現実の有名人や知人、ネット小説っぽくないライトノベルなどを参考にすると思いつきやすいはずだ。

　さて、考えられただろうか。私が思いついたものを男性、女性1人ずつ挙げようと思う。

男性

　漫画「生徒会役員共」の主人公「津田タカトシ」のような超ツッコミキャラ

女性

　ライトノベル「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」のヒロイン「雪ノ下雪乃」のような主人公に（恋愛的なものに限らず）あまり親しげに接しない終始冷静なキャラ

男性はともかく女性はいるでしょと思ったそこのあなた。本当にいるか確かめてみてほしい。多分ほとんど見かけることはないだろう。理由を考えていく。

　まず、男性のほう。ツッコミキャラというのは昔から漫画の伝統として結構存在しているのだが、ネット小説には「ギャグ」に寄せた作品がほとんどない（または埋もれてしまっている）ため、需要が薄くなっていなくなってしまったのだと思われる。今回は漫画キャラを例に挙げたが、ライトノベルにもギャグに寄せすぎて読んでいる間笑いが止まらないような作品はいくつも存在し、主に主人公がツッコミを入れている。

　ネット掲示板や動画サイトを見る限り、ネットの世界には「芸人顔負けのギャグやボケ」ができる人は多く存在するため、ネット小説にもギャグに寄せ切った作品があってもよさそうなものである。

　そして女性キャラ。これも「なろう系」等の波に流されてなくなってしまった性格である。ここ数年のネット小説では、「男性主人公を（最初から、または最終的に）慕ってくれる女性キャラ」が求められているため、主人公に対して反対意見を言ったり冷たい態度をとるキャラクターは作風に合わないのだろう。これに関しては戦闘系には非常に出しにくいのもあり、どうしようもなかったのかもしれない。戦闘なしの話が増えてほしい。

　さて、いかがだろう。こんなキャラクターが出てくる話を書きたい、読みたい。そう思っていただけただろうか。今こそ全国のネット小説家が

「みんな違い、みんなおもしろい」

作品を書くチャンスなのだ。ジャンルが固定化された今、（宣伝さえできれば）新たなジャンルは新たなファンを獲得することがたやすくできる。私はそういうチャレンジをする人を応援する。というか上記のようなキャラが出てくる作品が読みたい。

　私は今のネット小説界にうんざりしているのだ。それを少しでも変えたいと思ってこのような記事を書いている。あまりこういうことを言うのは有名になりたいと思われるので好きではないが、共感していただけたら拡散したり自分で新たに小説を書いてみてほしい。そして、書けたらぜひ私に読ませてほしい。