オレオのアニメ・ラノベ・ネット小説評論とか

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小説を書くときに作品全体を通して貫き通すべき「主人公の目的」

 自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。ネット小説を読んでいたら、「全体的にクオリティが高いんだけどごちゃごちゃしている」作品があったので、そうならないためにのコツを書いていく。参考にした作品の名は明かさないが、その作品はこの先に書いてあるような酷い表現はしておらず、むしろよく書けているほうだ。あくまで極端な例を挙げている。

 

 

 そもそも、ごちゃごちゃしているというのは何を指しているのか。簡潔にに説明すると、「現在の状況とはあまり関係ない要素が入ってきて空気が乱れる」ということだ。

 

 例えば、「戦闘シーンで真剣に強敵と戦っている」というシーンがあるとしよう。その中で、「男性キャラが女性キャラを助ける」とする。その時、大体の場合は「女性キャラがお礼をいう」か「何か言う暇もないほど時間がなく戦闘続行」となるだろう。

 それでは、これに違う要素を入れてみる。男性キャラと女性キャラをカップルということにして、助けた直後に「何かしらの愛情表現をする」としよう。これは言葉でもいいし、抱き着くとかキスとかでもいい。さて、これを見た読者はどう思うだろうか。「戦闘中でもキスするとか仲がいいなあ」と思うだろうか。答えは否である。おそらくほとんどの読者は、

「この2人はマイペースすぎて手に負えない」

「せっかくの緊張した空気が乱された」

「戦闘に集中しないとだめだろ」

リア充爆発しろ」

と思うはずだ。強敵との死闘で緊張が張り詰めて、読者もどんどん先を読みたいと思っているところにそんなことをやられては気分が冷めてしまう。その二人がどんなに仲が良くても、そういう事態は避けるべきだ。なにしろそれは「キャラクター達」にとってはそのまま死に繋がるのだから。

 

 このように、1つの話の軸があったら、それを急に曲げるようなことをすると読者は混乱してしまうのだ。これはそんなに直すのが大変ではない。戦闘なら戦闘、恋愛なら恋愛、のんびり休憩するなら休憩と、話を分ければいいのだ。その方が作者も書きやすいし、読者も話がすっきりしていて読みやすい。満足感も大きくなるだろう。

 

 さて、寄り道したが、本題に入ろう。本当に気にしなければならないのは、「作品全体を見たときにごちゃごちゃしていないか」ということだ。長編小説を書く場合は最終的にどうなるのかまで考えて物語を書く人は少ないだろう。だから、最初に書いた設定やキャラクターの考えが、最後のほうになったらまったくなくなっているというケースが起こりえる。これでは話の根幹を揺るがしかねない。読者は作者と違って話を一気に読むことができるので、作者よりもその違いに気が付きやすいから、細心の注意を払う必要がある。

 では、結末までの道のりを考えていないのにどうやって話がブレないようにするのか。何を守ればブレていないように見えるのか。その答えが、

「主人公の目的を決めておく」

である。「主人公は今こうだけど、最終的にはこうなる、こうなりたい」というのを最初の時点で決めておくのだ。これは、主人公が最初から目標にしていてもいいし、作者だけが知っていてもいい。

 主人公の目的が決まっていると、物語の構成をそれに基づいてある程度決めることができる。毎回、最初から決めたことから物語を作っていけば、その都度最初の設定を確認するし、方向性を見失わない。「初心に帰ること」ができるようになるのである。

 それと、別に主人公は最初に決めたことに最終話までとらわれ続ける必要はない。人間誰でも心変わりすることはあるし、何か重要なことが起きて別の目標ができるかも知れない。それはそれで、物語に良い影響を与える。ただ、最初の気持ちを忘れなければいいのだ。

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↑主人公っぽい素材があった。

 

 物語の中盤になって、最初の設定を忘れて突っ走ってしまう作品は数多くあるだろう。まだ序盤しか書いていない人がこれを見ているのなら、時々

「最初はどんな気持ちで話を書いていたか」

を思い出してみてほしい。その答えが、その作品の原点であり、1番「書きたい」という思いが強い時なのだ。その気持ちを忘れることなく、最後まで貫き通してほしい。

 

 

 どうだっただろうか。小説は一つの作品が完成するのにたくさんのできごとがあり、長い年月がかかる。作品を通して作者が伝えたいことがはっきり決まっていれば、それは大きな説得力を持ち、人を動かす力になるだろう。ただの娯楽ではなく、何か目標をもって執筆してみるのも面白いのではないか。