オレオのアニメ・ラノベ・ネット小説評論とか

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ネット小説に求められる「話の進行速度」Part1

 自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。今回は、私がインターネット小説やそれを書籍化した作品、アニメ化した作品を見てきて感じた「読みやすい進行速度」について書いていこうと思う。

 

 最初に結論を言おう。

 

【作品によって読みやすい進行速度は変わる】

 

 少し考えればわかる話ではある。小説には色々なジャンルがあり、さらにジャンルは同じでも作者が重要視している部分はそれぞれ変わってくるから、作品ごとに合った進行速度は変わる。「黄金比」というのはおそらく小説には存在しないだろう。だから、作品ごとに指摘することはできても、ライトノベル系統全体として「このくらいの説明を入れてこの程度感情描写をすればいい」ということを書くことは極めて困難だ。

 それではこの記事では何を説明するのかという話だが、ここでは「進行速度が速すぎず、遅すぎることがないようにする方法」を書くことにする。これを取り入れることで、

「展開が速すぎてついていけない」

「話が進まな過ぎて飽きてしまった」

という読者を減らすことができるはずだ。前編と後編に分けて、「速すぎる」「遅すぎる」ことについて説明する。

 

【速すぎないようにする】

 

 まずは「話が速すぎてついていけない」のを回避しよう。こちらのほうが遅いのに比べて問題が大きい。なぜならば、これはつまり世界観の作り込みが甘い。キャラクターの描写が少ないことを意味するからだ。読者からすれば、

「キャラクターが何を考えて行動しているのかわからない」

「専門用語や異世界系用語の意味や存在理由が理解できない」

という感想を抱くことになる。

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 これの主な発生要因として考えられるのは、「テンプレの存在」や「作者の頭の中だけでストーリーが完成されている点」にあるだろう。この現象が起きやすいのは「転生・転移・異世界ファンタジー」系統の作品だ。

 「テンプレ」のほうから説明しよう。「魔法」のような不思議な力やそれに類する武器等の存在や、「神」「モンスター」等の超常存在についての成り立ちや存在理由を全く考えていない作品が多い。「ファンタジーなんだから当然でしょ?」といわんばかりの説明の省かれ方をしているものを多く見かける。「テンプレ」が出来上がってしまったせいで、作者はそれを読者全体の共通認識と誤認しているのだろう。読者にある程度理解があればいいが、その手の知識がない人間からすればとても強引な進め方だととらえられる。完全に「わかっている人以外お断り」といってしまっているのだ。例えるならば、シリーズ物のゲームで1作品目に概要が説明されていて、それ以降から始めるとストーリーどころか世界観すらよくわからない、というようなものだろうか。1つの作品を、つまり世界を作り出すためには

「すでに他の作品で説明されている事であっても、きちんと自分なりに説明し、作品に落とし込む」

必要がある。

 「作者の頭の中でストーリーが完成されている」ということについてだが、実はこっちのほうがよほど厄介だ。キャラクターたちの行動理由や、言葉に出ていない感情が文章に現れず、読者からすれば「突発的に何かしだした」ように感じてしまうのだ。これではキャラクターに感情移入することができず、なんでそうしたのか。そう感じたのかを推理するゲームになってしまう。もはや別の作品だ。これを回避するために、作者は

「読者の気持ちになって作品を丁寧に描写する」

ことが求められる。

 

 これらに気を付けて書くようにすれば、少なくとも過度な説明不足がなくなるはずだ。世界観の設定を考えたり、それを文字にして説明するのは大変な作業であるが、読者に作品を理解してもらうには必須だ。説明は(物語の邪魔をしなければ)いくらあっても良いと私は考えている。どんどん世界を詳細に作りこみ、没入感を読者に与えられれば、その作品は完成に近づいていくだろう。

 

 

 次回は「話が進まな過ぎて飽きる」ことを防止するための書き方を説明しようと思う。これらを使って、より良い作品を作れる作者が増えることが、私の喜びだ。