オレオのアニメ・ラノベ・ネット小説評論とか

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ネット小説に、ギャグマンガ的な要素はどれだけ必要か

 自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。雨が降った後は、決まって空気が澄んでいる。普段車や風によって舞い上がっている小さなほこりや砂などが、雨で地面に落ちているのだろう。だから、私は雨は嫌いだが雨が上がった後は好きだ。歩いていても、窓を開けているだけでもすがすがしい気持ちになれる。そういえば、ネット小説の異世界ではあまり雨が降らないような気がする。天候について触れることで、意識が色々なところに向くと思うから、試してみてはいかがだろうか。


 現在のネット小説は、「なろう系」や「恋愛系」が主流である。なろう系は、爽快なバトルや友情、様々な地球では見ることができない不思議なできごとを楽しむことができる。恋愛系なら、細かな心の動きとキャラクターの成長が読者を引き込んでいく。どちらも、非常に人気があるジャンルだ。
 今回のテーマは、そんな作品たちに、「ギャグマンガに多くあるようなギャグ要素はどれだけ必要なのか」ということである。
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〇ギャグ要素とは

 この記事における「ギャグマンガに多くあるようなギャグ要素」は何を指すのかを先に説明する。なお、この時点では良いとも悪いとも言っていないので、誤解しないように頼む。
 
①「人が自然と口にする以上の(つまりわざと言っている)ボケ発言など。そしてそれを発言すること自体が大きな役目のキャラクター」。これは、キャラクター同士の会話のシーンで起きるものだ。必要以上にオーバーな発言やリアクション。それから、意図的に話を無視して意味不明な発言をするキャラクターなどである。
②「明らかに読者を笑わせる意図で書かれた生物や物体」。生物なら、単純な生命体としてみたときに無理があるような、読者を笑わせるためだけに作った設定があるもの。物体なら、異世界の王族に伝わる宝物が、日本人から見ると罵倒するような言葉や下品なことが書かれているものなどである。

 書いてみるとかなり限定されそうなものだが、小さな事ならみんなやっているように思える。笑いのセンスがない私には例を挙げることができなかったので具体性がないのが申し訳ない。イメージしにくいかもしれないが、「ギャグをメインに書いていないけど笑ったところ」を思い出していただくと、だいたい当てはまると思われる。

〇ギャグ要素は必要なのか

 では、なんとなくシーンを思い出したところで、本題に入っていこう。「なろう系」や「恋愛系」のだいたいの作品において、1番書きたいところ、読者に伝えたいことというのは、「キャラクターの心の成長」である。ある出来事があって、キャラクターの気持ちがどう変わっていくのか。キャラクター同士の関係がどのように変化していくのか。これが非常に重要になってくるわけだ。そういう作品は、メインとなる出来事が起こっている間キャラクターの心情やその場の空気がとても大事になってくる。それをどれだけ細かく描写できるかで、成長が形になった瞬間の説得力と興奮が大きくなるのだから。
 さて、そんな作品に、ギャグ要素は必要なのだろうか。
 私の結論は、「安易に入れてはいけないが、間違いなく必要である」だ。ただし、ギャグ要素を入れるにしても、入れ方に工夫がいると考える。
 ギャグ要素は、タイミングを考えずに安易に入れてしまうと、雰囲気や変わろうとしていた心が無くなってしまう。それは間違いなく話の本筋から外れて読者を困惑させるし、キャラクターの成長を阻害してしまう。ギャグをメインにしないのならば、悪影響が多いだろう。
 しかし、ギャグはうまく使えば(そして滑らなければ)、読者の心を和ませたり、その作品独特のリズムを作ることができる。場合によっては、そのキャラクターやものがいることによって話が意外な方向に進むこともあるかもしれない。トリックスターになれるのだ。

〇ギャグ要素の入れ方の案

 ギャグ要素はあったほうが作品に魅力が出る。ただ、そのタイミングは難しい。というわけで、私がおすすめする入れ方を紹介しよう。

・主人公に内心で突っ込ませる
 主人公の性格は様々だが、最近の作品は割とひねくれていることが多いように思える。作者の考え方が大きく反映されるから、それも当然だろう(作家はみな変人だと思っている)。ならば、その主人公に笑いを取ってもらえばいい。笑いの取り方は、別に変なボケをかますことだけじゃない。例えば「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」の主人公「比企谷八幡」は、クラスメイトが普段普通に行っている行動(多少変なものもあるが)に内心で突っ込みを入れることがよくある。これは、現実の人間でもよく起こりえることだ。口には出さないけれど、周りのノリとは違うことを考えていることはあるだろう。それは、少し書き方を工夫すれば、1つの「笑い」として機能する。それをあまり重要でないシーンでやることで、読者はその考えに感心するとともに、読者を笑わせることができるだろう。これは、作者、つまりあなた自身の考えを書けばいいわけだから難しく考えなくてよいのも良いところだ。「人とは違う考え方をしてそうだな」と思うことがあったら、積極的に書いてみるとよいと思う。


 どうだっただろうか。最近は、ギャグメインの小説がめっきり減ってしまった。寂しいことではあるが、それがまた新たな方向に進化してくれるのなら、それはそれでよいのだ。他の人のやり方を完全にコピーするのではなく、自分で考えて、自分が感じ取れる範囲で物語を作っていけばいい。それが、やがて読者が求めるものに変わっていくのだ。


 何も考えられない人はいない。もしそう見える人がいるならば、それはただ既存概念にとらわれているだけだ。周りに合わせ、自分を押し殺している。そのことに気付いてもいないかもしれない。そんな人が、「自分」のことを書いてくれるようになったのなることが、このブログの大きな目標である。