オレオのアニメ・ラノベ・ネット小説評論とか

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【ネット小説】説明は「答えを提示する」ものではなく、「読者に考えさせるため」のものである

 自称アニメ・ラノベ評論家、オレオだ。私は、出かけるために歩いたり自転車をこいでいるとき、いつも歌っている。歌は好きだし、ただ移動するよりもよっぽど有意義な時間を過ごせると思うからだ。

 ライトノベルやネット小説を読んでいると、移動しているときの描写があまりないような気がする。ネット小説は文字数に制限がないから、気が向いた時やタイミングが合ったときにでも、移動中のキャラクターを描写してみるのはいかがだろうか。

 

 

 今回は、

「小説は、作者だけでなく読者がいて初めて完成する」

という考えをもとに書いている。これを頭に入れながら読んでみてほしい。

 最近、随分と「わかりやすい」ネット小説が多いと感じる。どんなシーンでも表現が直接的であるとか、あまり伏線を張らないとかである。今回は、「わかりやすくするため」の説明と、そうではない、「作品が面白くなるため」の説明について書く。

 

 

〇「わかりやすい」書き方は、小説向きじゃない

 まず最初に、読者目線で「わかりやすい」物語というのは、小説に向いていない。読者に分かりやすく伝えたいのなら、漫画のほうが何倍も優れているだろう。

 小説は、映像や音声を伴わない、非常に情報が少ない媒体だ。だから、わかりやすく、つまり簡単に情報を伝えようとしたら、漫画やアニメ、ドラマに比べて、全体的に稚拙になってしまうのだ。

 簡単に、わかりやすくした小説は、読者が想像する幅を狭めてしまう。小説を書くのであれば、小説だけにしかできない書き方を考えなければならない。

 

〇「小説」ならではの説明の活かし方

 わかりやすくするための、答えを示す説明ではいけないと分かったところで、どう説明するとよいのかを書いていこう。

 まず、最初に書いた「小説は読者がいて初めて完成する」ということを思い出してほしい。読者は、小説を読むとき、文章の情報からいろいろなことを想像する。例えば、キャラクターの声や話し方、歩き方。周りの音や温度などだ。小説において、読者が想像して決めなければならないことは多岐にわたり、作者が決められることは意外と少ないことがわかるだろう。

 さて、読者に様々な事をゆだねなければ、小説は物語として完成しない。ここで気をつけねばならないことは、何も考えずに小説を書いてしまうと、読者に届いた時には作者の考えているものとは全く違うものになってしまうことがあるということだ。説明は、それを回避するためにある。そして、作者が意図していることを最低限描写してしまえば、あとの細かいところは、読者が勝手に補完してくれるのである。

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〇独自の要素は丁寧に細部まで

 特にファンタジー系の作品は、作品独自の、現実には起こりえない要素を盛り込むことが多いだろう。例えば、魔法やスキルなどだ。ほかにも、想像上の生物や現象も、独自の要素といえるだろう。

 この超常現象的な要素について、最近の作品は全くと言ってもいいほど説明しようとしない。もはやネット小説の定番となっているから、もうみんなわかりきっているだろうと思って、書いていないのだと思われるが、これこそ説明をしっかり書いたほうが良いと私は考える。

 先ほども言ったように、読者は、作者が説明をしないと、それぞれで勝手に想像して読んでしまう。想像することとは、読者の経験したことや、見たことがある映像から出てくるものである。想像上の現象を考えるとき、読者が経験したことをもとに想像してしまうと、

「読者は、ほかの作品と全く同じものを想像する」

のである。これでは、せっかく自分で考え出した現象や生物も、すでにあるものに上書きされてしまう。創作をするうえで、人気を出すうえで、これは致命的な欠点である。

 読者に新たなことを想像させるために、独自の要素の説明は必須である。細かく理論的に説明することで、その物語が特別であることを、読者にアピールできるのだ。

 

〇心理描写は説明しすぎず、急ぎすぎない

 今のネット小説に足りないものは何かと聞かれたら、間違いなく心理描写の丁寧さだと答えるだろう。恋愛感情にしろ戦闘中に考えていることにしろ、直接的な作品が多い。キャラクターの心の声を簡潔に書いてしまうと、はっきり言って、

「キャラクターが馬鹿に見える」

のである。一部の「そういうキャラ」を除いて、ほとんどの人間は複雑に物事を考えるものだ。自分の都合がいいように計算して動いたり、人によく見られようとして、思ってもいないことを言ったりする。心理描写を簡潔に、わかりやすく書いてしまうと、それが全く伝わらないのだ。複雑に絡み合う思いをどのように表現するかは、小説の醍醐味であり、一番難しいところだろう。

 そこで、私が経験上良いなと思った、キャラクターの心を書く方法を、書くことにする。

 まず、表情や声色などの情報をうまく使うことだ。これをセリフと組み合わせることで、キャラクターが考えていることを直接書くことなく、ある程度の気持ちを読者に伝えることができる。あえて読者に考える余地を与えることで、感情移入しやすくなるし、言われた側の気持ちも考えることができるので、例えば「思いのすれ違い」などを書きやすくなる。また、読者に気持ちを想像させておいて、後でそれが演技だったとすることもできるので、意外性を出すことにも使える。

 それから、「キャラクターの気持ちを育てる」ことと、それをさりげなく散りばめることを意識するとよいと思う。最近のネット小説、特に主人公最強系は、ヒロインがすぐに主人公を好きになることが多い。私は女性ではないから、実際に一目惚れする人がどれくらいいるのかは知らないが、いくら何でも多すぎるし、早すぎると思う。そして何より、読んでいてそんなに面白いと思わない。

 キャラクターの気持ちを、徐々に強めたり、変えたりすることによって、読者は物語を思い出のように感じながら読むことができる。そして、気持ちというのは、ちょっとした出来事によって変化していくものだし、時間がたつことによっても変わっていく。だから、少しずつ、ところどころに心情を描写することが重要なのである。

 

 

 小説は、情報が少ないからこそ、読者にどのように想像させるかが、何より重要になってくる。情報をいかに効果的な場面で出し、そうでないところで隠すか。どこまで細かく設定を作りこめるか。読者をにどのように想像させたいかを、考えることが大切なのである。

 そして、ネット小説は、読者が気軽に感想を送れることが、メリットの一つだ。読者になって感想を書くときは、自分がどのように想像して、キャラクターが動いたかを、書くとよいと思っている。

 

 

 ツイッターではもう書いたが、しばらくは週1か、それ以上くらいのペースで更新していこうと思う。それ以外の時間は、小説を読んで勉強したり、ネタを考えたりする時間に充てようと思っている。