自然物から感じ取れる空気を小説に生かせば臨場感UP!
自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。ネット小説には、自然に対する描写が圧倒的に足りていない。そこで、その原因の追究と、私が体験したことを参考にして、自然物から感じ取れることとそれを小説に描写する方法を書いていく。
最近ネット小説を読んでいて感じることがある。どれも決まって「人間と建物の描写はできているが動植物や天気などの描写がほとんどない」のだ。みんな文章を書く能力や想像力はあるはずなのに、なぜかそういうところが抜けている。なぜなのか。
答えは、そもそも普段の生活でそれらに注目していないからだ。注目するのは人間の感情や建築物が中心で、わざわざ木々や草花、天候など気にかけないのだろう。現代はコンピュータ社会だ。そうなるのも無理ないことかもしれない。自然を感じ取る機会は、森に行ったり植物園や動物園にいかないと得られないのだろう。
だが、だからといってあきらめてはいけない。自然物の描写ができるようになれば、読者の没入感は数倍になることだろう。これをやらないのはもったいなさすぎる。
〇どれくらいのことを感じ取れるか把握する
とりあえず、今あなたがどれくらい自然を感じ取れるか確認してみよう。自然の風景の写真を用意した。この写真から、何を感じ取ったか。30秒から1分くらいでノートやスマホにでも書きだしてみてほしい。よーいスタート!
さて、できただろうか。私は、
・鳥の声
・滝、川の流れる音
・木々が揺れる音
・木漏れ日のまぶしさ
・土の質感
・コケと葉っぱの色。同じ緑だけど、明るさが全然違う。
・いるであろう虫などの小動物
・水の透明感とその奥に見える石の質感
こんなところだ。だいたい2分くらいで全部かけたと思う。あなたはどれくらいできただろうか。このほかにも、
・木の幹や枝の質感
・土からはみ出している根っこ
など、考えられることは無数にある。このようなことを写真から想像し、どんどん小説に取り入れていけばその場の空気がより読者に伝わるのだ。
〇小説にどう取り入れていくのか
先ほどの様に、写真をもとに風景から感じられたことをそのまま書くだけで良いと思う。もちろんちゃんと文章にする必要があるが。これらを書くだけで、相当な情報量になるはずである。印象に残したい場所なら、何百文字も使って書けばいい。別に主人公がそれを全部説明しなくても、読者に伝わるようにするだけで良いのだ。時には擬音を使ったり、ごく小さなものに焦点を当ててみるのも面白いだろう。
そして、何より大事なのは、例えば森なら
「少し高い湿度と涼しい風、人工物がないことによる澄み切った自然だけの匂いや空気」
のような「そこでしか味わえない独特の空気」を描写することである。森に行ったとき、空気がおいしい、心が洗われると思ったことがあるだろう。海に行ったときの解放感とちょっとべたつく潮風を感じたことがあるだろう。それを、そのまま書くことが大事なのだ。これは、キャラクターが(意識しなくても)感じることなので、ふとした瞬間に思い出すように書いてみると良いかもしれない。
これらを想像だけで書くのはなかなか至難の業なので、できれば体験をもとに書くべきだ。ただ、異世界や未来の話だと想像だけで書くしかない場合もある。だが、それでも一生懸命考え、キャラクターが五感で感じとれるであろう情報を書く価値は大いにあると思われる。
古い文学作品や俳句、短歌などでは、風景や小さな気づきを丁寧に描写することは当たり前だったのかもしれない。だが、今の小説はストーリーの進行が重視され、自然物について語る機会+がめっきり減ってしまった。大自然の圧倒的な存在感。崖やアスファルトにすら咲く花々。木々に住んでいる小さな虫たちの賢明な姿。夜に聞こえる虫の合唱。これらに注目してみると、普段では考えられないようなことにたくさん出会えるはずだ。
「ただ面白いだけじゃない、人の生き方を変える小説」
を作るためには、こういう小さな工夫が大事なのだ。
どうだっただろうか。外に出るとき、小さな自然に注目して見てほしい。その小さな積み重ねが、やがて人生観となっていくのだから。それらは、文字や言葉を通して周りに伝わっていくのだから。