なろう系の世界よ。ポイントで「スキル習得」やめにしないか?
自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。前回の記事とあまり変わらないが、今回は「スキルを習得する」ことについ書いていく。経験値についても触れていく予定だ。
異世界系の小説において、前回書いた「ステータス」と並んでよく出てくるのが「スキル・魔法」の存在だ。
まず一般的にスキルというのは、教養や訓練によって獲得した能力のことだ。日本語に訳すなら「技能」。ということは、先天的な力ではないのか。1つ勉強になった。これから先、「スキル」には先天的ないわゆる「固有スキル」は含まないことにする。
さて、「スキル・魔法」をキャラクターが習得する際、ゲームでは経験やレベルアップに応じて勝手に覚えたり、「スキルポイント」みたいなものが手に入ってそれを割りあてることで覚えたりするわけだ。これは、「このキャラクターはここまでの旅でこんな経験をして、練習をしたからこんな能力を今完全に習得しましたよ。戦闘でつかえますよ」ということを簡略化して表示しているだけだと思うのだ。
何が言いたいかというと、ゲームの外から操作しているプレイヤーにとってはその瞬間「スキル・魔法」をインストールされたように感じるが、ゲーム内のキャラにとってそれは、修練を重ねた結果使い物になった瞬間だということだ。
経験値も、実際に「経験値」という謎物質が蓄積されていくわけではないはずだ。戦闘した結果、何を学んだか。それをプレイヤーやシステムが一定の間隔(レベルアップなど)で決めているに過ぎない。
これらの理由により、「スキルや魔法」を簡単に習得するということは人間にはなしえないと思う。理論ややり方はわかっていても、相当の訓練が必要なはずなのだ。例えば言語を話すことも、箸や鉛筆の持ち方だって教わって練習して覚えるのだ。
だから主人公を手っ取り早く強くしたいからってバンバン「スキル」を覚えさせるのではなく、多少テンポが悪くなっても練習するシーンを書いたほうが良いと思う。
人間というのは、達成感を得られるから成長するし、それがあったからその知識や経験を大切にするのだ。愛着がわくのだ。無料でインストールしたゲームは安易に試して面白くなければすぐ消せるが、自分の金で買ったゲームはよく考えて買うし、何十年も遊び続ける人すらいる。それと同じだ。
せっかくだからもう一つ話をしよう。
「異世界ファンタジー」の世界の「スキル」にはいろいろな種類がある。「~スラッシュ(剣攻撃)」とか「ファイア(魔法)」みたいな攻撃技。身体能力向上系。回復魔法。「~耐性」とか「~無効」。鑑定やらアイテムボックスやらそこらへんのいわゆる「主人公セット」。交渉とか魅了なんて言うのがある場合もある。
さて、ここで挙げた中で習得が簡単なのはなんだろう。
私は、攻撃系が一番簡単だと思う。結局は武器や拳の振り方だ。斬撃を飛ばすのは無理かもしれないが、大体は現代の人間にも可能だと思う。異世界で身体が強化されてしまった勇者君なら、もっとハードな動きもできるだろう。
あとは交渉とか話術とか?そういうスキルとして表示する必要があるのか微妙なラインの奴なら問題ないだろう。練習すれば誰だって習得可能だ。魅了や洗脳だって話術の延長だし、いろいろやり方はあるのだろう。私は試したことがないが。
魔法に関してはよくわからん。基準がそもそもわからないから、やろうとすれば出来るかもしれないし、無理かもしれない。これはスルー。
私が文句を言いたいのはこれだ。「耐性・無効系」。威圧に耐えられるようになるとか痛みを多少我慢できるようになるならわかる。でも「毒耐性」「石化耐性」「火炎攻撃耐性」など、これらは人体改造でもしないと一代では不可能だ。
人間に限らず生物というのは親の経験を引き継いで子を進化させていくのだ。今の人間が色々な食べ物を消化できるのだって、昔は消化できなかったものをだんだんできるように適応していった結果なのだ。一人の人間が一瞬でできることではない。主人公はそれを大量にやってのけているのだ。絶対人間やめてるね。
今日は「スキル・魔法」について軽く語ってみたが、どうだっただろうか。異世界の住人及びそれにちゃっかり適応した主人公はいかに生物離れしているかわかっていただけたと思う。ポイントを割り振って経験したことを決められる。これこそ「チート」つまりズルだといえるだろう。今までの記憶や経験を改ざんしているのだから・・・。
たった今思いついたのだが、
「異世界に転移した主人公が言語どころか食料にすら適応できなくて魔王討伐どころではない」
こんな話、どうだろうか。なろうテンプレを何も使わずに、主人公の努力が永遠に書けるだろう。もし書いてくれる人がいたら、ぜひ連絡してほしい。