オレオのアニメ・ラノベ・ネット小説評論とか

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復讐に燃える主人公を読みたかったのに、仲間ができた瞬間丸くなる悲しさ

 自称アニメ・ラノベ評論家。オレオだ。みなさんは、都合のいいことを信じて、都合が悪くなると手の平を返す。またはその逆を経験したことがあるだろうか。私はたまにあるのだが、それを悪いと考える人が多いと思うのだ。
 その人たちが、自分のことを棚に上げていっているのか、それとも心の底から悪いと思っているのかは別として、私は手の平を返すことは当然のことだと思っている。なぜなら、それは人の1番新しい、過去に囚われない純粋な意見であるからだ。それを発言することは、新たな考え方を発見することであり、今までかかわりがなかったコミュニティと出会うチャンスである。まあ、同じ考えの連中で同意しあっているのもやりすぎは良くないが、意見の交換をするというのは、今の「他人とむやみにかかわり合おうとしない世の中」には必要なことであると思う。だからこそ、その場で思ったことを言葉や文章として残しておくことは、大事なことだと思うのだ。


 今回は、主に異世界もののジャンルに多い「復讐もの」について気になったことを話していく。これは個人的なことではあるが、私は結構「復讐もの」や「ざまぁwww系」が好きでよく読んでいる。いや、最近は高クオリティの作品に出会えていないから、「読んでいた」だな。人間の汚い感情を前面に出しているそのコンセプトは、作者の欲望や心の闇を見せられているようで楽しい。
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〇「復讐もの」とは

 「異世界系」を読んだことがある人なら知っていると思うが、そうでない人のために説明しておく。
 「復讐もの」とは、いじめられていたり弱いことが発覚した主人公が、周りの人たちからバカにされたり追放されたりするところから物語が始まる。そこから主人公は何らかの手段(例えば追放された先の強敵を倒して人外レベルに強くなったり、知られていなかった能力が発覚したりする。作品によって分かれる山場)によって強くなって帰ってきて、バカにしていた連中に復讐するという話だ。
 だいたいの場合主人公はすぐに強くなってしまうので、地面にはいつくばってでも復讐するという感じではなく、無双状態に入ることが多い。ダークな感情を取り入れつつ、しっかりと「バカにしてきたやつらを圧倒的な力でねじ伏せる」という「チート」要素も盛り込まれている。そのせいで、開始早々に復讐を成し遂げてしまう残念なパターンも存在している。その一方で、主人公の目的が明確なため、最後まで復讐を貫く作品の面白さとスピード感は一級品である。一気読み推奨。

〇ずっと孤独じゃないことが多い

 物語の構成上、主人公は周りの人間から距離を置かなければならないため、基本的に1人での行動を強いられる「復讐もの」。しかし、それだと代わり映えしないからなのか、途中で仲間キャラクターが登場するものが非常に多い。
 そのキャラクターは多種多様であり、少し前に話題になった「スライム」などの魔物である場合や、同じく追放されたり封印されていた意思疎通が可能な生物である場合などがある。その他にも、復讐相手を意のままに操れるように改造、洗脳して仲間にすることもある(非人道的だが、そこがいいのだ)。
 そしてそのキャラクターは、主人公との利害の一致によって行動を共にすることになるのだが、この仲間の存在が、今回の記事の1番大事なところであり、あなたに考えてもらいたいところなのだ。

〇仲間キャラクターの影響が強すぎて、復讐を思いとどまる主人公が続出

 そう、今回の議題はこれだ。今まで復讐することで頭がいっぱいだった主人公は、仲間ができたことで心の余裕が生まれ、そして新たな考えを取り入れることで、考えを改めるケースがあるのだ。作品によって差はあるものの、多くの作品は「仲間に出会ってから丸くなる」。
「私は、やり返すためにどんなことを考えて、どんな残酷なことをするのかが見たいのに、これじゃあ元の趣旨と違うじゃん!」
ということが起こってしまうのである。実際、これらの作品の魅力はどこまでいっても復讐であるから、それをブレさせることは、作品の良さを消してしまっていると思うわけである。
 特に私が落胆する展開は、「ヒロインと出会って復讐を忘れる」である。自分のことをわかってくれる異性の登場によって、主人公が復讐の無意味さに気付き、ヒロインと幸せになるというのは、一見とても良いものに見える。だが、「復讐」という言葉に惹かれてやってきた読者からすると完全に期待外れの展開だ。ダークな雰囲気を楽しみに来たのに、ラブラブなカップルを見させられてはどうしようもない。泣く泣くその作品のページを閉じることになってしまう。
 ただ、もともとの作者の意図が「復讐一本筋」であるかどうかはわからないし、それは主人公の成長ととらえることもできるので一概に悪いとは言えないのが難しいところではある。まあ、この記事自体私のわがままであるため、1つの意見としてとらえてくれれば良い。

〇復讐とヒロインを両立させたい

 批判だけして終わるのは可能性をつぶすだけなので、私なりに理想の「復讐もの」像を考えてみた。1番多くの作品に使われていそうな、ヒロインが仲間になるパターンをやってみる。

・ヒロインは主人公と同じ目標や趣味を持っていること
 先ほども言った通り、他のジャンルと同じような性格のヒロインを出してしまうと、主人公の復讐心が薄れてしまう。そこで、ヒロインも同じような目に合っており、主人公とともに復讐を果たす協力関係を結ぶ。こうすることで、復讐の対象が2倍に増えるし、それぞれの対象を異なる容姿や考え方を持つ人間にすることで、より色々な復讐方法を考えることができる。ぶっちゃけ、私は復讐の方法を考えて笑っている頭の狂った主人公が大好きなので、それが2人に増えるなら、大歓迎である。

・完全に主人公に頼り切るのではなく、あくまで協力関係でいること
 ヒロインが主人公に尽くすというのは「異世界系」ではよくあることだが、「復讐もの」にはそれを適用しないほうが面白いと思った。主人公は主人公のため、ヒロイン(または仲間のペット的な生物)は自分のために、というスタンスを守るのだ。復讐を誓う人間は、人間不信に陥っていることが多くあると思う。だから、お互いを利用しあうことでそれぞれの目的を果たすという関係を保つ。目的が異なったら、最終的には主人公すらも裏切るヒロインであるほうが、こういう話には合っているような気がする。


 今回の主張、あなたはどう思っただろうか。最近は、どんな始まり方をしてもハッピーエンドに持っていきたがりな作者が多い。主人公がわるいことをしまくった挙句、地獄に落ちる作品があってもいいと、私は思うのだ。だからこそ、周りの空気や流行に流されず、最後まで最初のコンセプトを貫いてみるというのは大事である。その先にこそ、本当のオリジナルの作品が出来上がるのだから。


 そういえば、私は赤の他人でも、相談や質問を随時募集している。別に小説のことじゃなくても、なんだっていい。とにかくいろいろな人と話してみたい……のだが、個人情報が心配されたり、自分のことを話したがらない人が増えたせいで、なかなかその願いはかなわないでいる。どうしようかなあ。相談所アカウントでも作るか。でもまだ専門知識がない素人だしなあ。まあ、とにかく、暇な人がいればツイッターで話しかけてほしい。